「気候不安」が広がる若い世代へ。ビジネスから希望を伝えたい
こんにちは、e-dash マーケティング部の井田です。
記録更新が続く高温、深刻化する大雨、干ばつ、熱波等、気候変動の影響を最も長く受け立場にあるのは若い世代です。
今、若者たちは気候変動問題をどのように捉えているのか、どんな動きがあるのか、e-dashが最近行った大学での授業と共にお伝えします。
国際会議で声を上げる世界の若者たち
今年11月に開かれたCOP29(国連気候変動枠組条約第29回締約国会議)では、各メディアから若い世代の活躍が報じられました。
COP開催以来初めて、若者たちの参加を確保するための専用ブース「若者主導の気候フォーラム」が設けられ、最年少10歳を含む4人の若者たちが司会やスピーカーを務め、締約国やオブザーバー機関と直接やり取りをしました。
「若者たちの参加は、気候行動を推進する上での包摂や世代間協力の重要性に光を当てるもの」だったようです。
日本からは海の温暖化問題について英語で堂々とスピーチする小学1年生の姿が報じられました。
グレタ・トゥーンベリさんから始まった「未来のための金曜日」
日本でも若者が声を上げる姿が見られるようになったのは、スウェーデンの環境活動家 グレタ・トゥーンベリさんの活動がきっかけです。
2018年8月、当時高校生のグレタさんは、毎週金曜日に学校を休み、スウェーデンの国会議事堂の前で地球温暖化への対策を訴える活動を1人で始めました。この活動はSNSで世界中の若者の共感を呼び、Fridays For Future=「未来のための金曜日」と呼ばるようになりました。
活動を始めてわずか1年余りで国連の温暖化サミットに招かれ、「あなた方が話すことは、お金のことや永遠に続く経済成長というおとぎ話ばかり」と強い口調で訴えた姿は、世界中のメディアで取り上げられました。
グレタさんの活動に共感した学生たちが各国でFridays For Future(未来のための金曜日)と称した学校ストライキを行い、日本でも2019年2月、Fridays For Future Japanを結成。今やFridays For Future Japanから複数の若者団体が立ち上がり独自の活動をしています。
若い世代に広がる「気候不安」とは?
気候変動の影響が深刻化する時代に生まれてきた世代。一方で、政策決定権や発言の機会は自分たちには与えられず、声を上げる場所がない。ネガティブな感情を抱かざるを得ないのが今の社会の体制です。
そんな中、若い世代に広がっていると言われる「気候不安(エコ不安)」。気候変動による生活や環境への影響や未来への不安から、不安感、無力感、怒りなどの感情を慢性的に抱いている状態です。
2021年にバース大学の研究者が中心となり実施した調査をもとに日本で行なわれた気候不安に関する意識調査では、「気候変動によってもたらされる感情」に対し、「悲しみ」「諦め」「落ち込み」「絶望」等、悲観的な感情の回答率は総じて16歳~25歳の若い世代に高く、気候変動に対しネガティブな感情を抱いている傾向があることが分かりました(図1)。
さらに、「気候変動に対する感情は、日常生活にネガティブな影響を与えているかどうか」に対し「はい」と答えた割合を年代別で見ると、どの世代も4割以上を占め、特に16-25歳で半数近くにのぼりました(図2)。
住民・若者にも政策決定権を!「気候市民会議」
少しずつではありますが、前述したCOP29での「若者主導の気候フォーラム」のように、若者や一般市民が意見を届けられる場所が国内外にでき始めています。
その一つが気候市民会議です。社会全体の縮図を構成するように無作為に選出された人たちが専門家から気候変動対策について議論する会議で、フランスで始まりました。あらゆる年代・立場の人から議論された結果は自治体の気候変動対策の計画づくりなどに活用され、日本では2020年から各自治体で行われています。
フランスやイギリスで出された提言は大きな注目を集め、2030年から2035年までにガソリン・ディーゼル車の新車販売を禁止するなど、市民の声が政策にも影響を与えました。2024年8月には「日本版気候若者会議」が立ち上がり、約100名の若者が環境大臣や各政党に向けて気候変動・エネルギー政策に関する提言を手交しました。
「脱炭素」から希望の未来へ。ビジネスから希望を伝えたい
今後地球の温度上昇を1.5℃未満に抑えなければ、さらなる深刻な気候変動の影響が広がることは明らかであり、そのためには2050年までにカーボンニュートラルの実現が必須となっています。
温室効果ガス排出量の多くを占める産業部門、すなわち企業のこれからの姿勢が気候変動問題の解決に向けて重要であることは間違いありません。
私たちe-dashは、CO2可視化から削減までを総合的にサポートする会社です。
ビジネスが気候変動対策へと動き始めており、そこに課題の解決に向けた希望があることを伝えたい。少しでも未来に繋がるヒントを授けたい。そんな思いでe-dashでは脱炭素に関する出張授業を行っています。
今年秋には、横浜国立大学と神戸大学の学生さんに向けた授業を行いました。
横浜国立大学では、3グループに分かれてワークショップを実施。「2050年カーボンニュートラル」実現に向けて2030年からの10年ごとの「政府」「企業」「生活」の姿を踏まえた上で、今後どんなビジネスチャンスがあるかを話し合ってもらいました。
「個人が環境に良い行動をした際に決済アプリを通じてポイントがもらえる等の仕組み作りにビジネスチャンスがあるのでは」との意見や「宅配便の梱包資材の削減や置き配の推進にある課題の解決が重要である」など、日常生活からヒントを得ていることが印象的でした。
神戸大学からのアンケートでは、「企業側では脱炭素に向けた取り組みが進んでいるが、私たち消費者個人ではまだ意識が高まっていないように見える」や「具体的に誰が何をすれば良いのか、誰が何を取り組んでいるのかなど不明瞭なことが多く、我が身のこととして考えられない。自分がとるべき行動が何かを理解する必要がある」等、情報を求める声も多く見られました。
2050年の主役となる若い世代へ、気候変動の今を伝え理解してもらうこと、声を上げる場を作ることは社会の責務だと思います。その上で、ポジティブな未来や希望を伝えたい。ビジネスは希望であることを伝えたい。e-dashの出張授業は続きます。