一通のお手紙からの出会い。中学生との交流で考えたこと
こんにちは、e-dashマーケティング部の吉田遥です。
今回は私が中学生との交流で感じたことを綴らせていただきたいと思います。
でも、一体どうして“中学生”なのかーー。
始まりは「一通のお手紙」でした。
思いもよらない差出人
「突然のお手紙をお許しください」
今年の8月上旬、こんな書き出しから始まる一通のお手紙がe-dashに届きました。
差出人は大阪市の中学校に通う3年生の女子生徒。社会科の授業の「卒業レポート」の題材に気候変動問題を選び、リサーチをする過程で、e-dashに興味を持ってくださったそうです。
「今を犠牲にせず、目の前にいる人と喜びあえる未来をつくりあげるという考えが良いと思い…」「地球温暖化の解決に繋がる取り組みに驚きました」など、文面からは、当社のことをとても丁寧に調べてくださった様子が伝わってきました。
そして、お手紙の最後には、卒業レポートの作成に向けてe-dashにインタビューをしたいとのご依頼が。
これはもう直接会いにいくしかない!
中学校の夏休み明けの9月、本社のある東京から大阪を訪れることになりました。
最近の仕事で、一番緊張した
大阪市内で大阪在住のエンジニアの同僚・池田さんと合流し、いざ女子生徒が通う大阪市立長吉西中学校へ。
中学校に足を踏み入れるのは、中学生以来15年ぶり。ドキドキしながら教室に入ると、4人の生徒がさわやかな笑顔で迎えてくれました。お手紙をくださった女子生徒だけではなく、私たちの話を聞きたいと他3人の生徒も有志で集まってくれたのです。
簡単な自己紹介をしたのち、まずは脱炭素の潮流やe-dashのサービスについて紹介しました。
今、社会全体で脱炭素が求められていること。企業が脱炭素を加速できるよう、e-dashは色々なサービスを提供していること。
普段話し慣れていることも、中学生に向けて話すとなると、一つ一つの言葉選びにも悩みます。生徒たちの反応を伺いながら夢中で話しました。
それに対して、生徒たちは沢山の質問をしてくれました。
・CO2排出量の可視化で企業はどんなことが分かったのか。
・中学生が普段からできるCO2排出量を削減する方法とは。
・「差別」や「森林伐採」など他の社会課題と気候変動はどんな関係にあるのか。
次第に場の空気も砕けてきて、段々と雑談も混じるように。
「部活は忙しい?」「受験勉強は順調?」
そうした会話の中で私が気付かされたのは、気候変動によって若者の日常が変化してきている、という事実でした。
気候変動で変わる学校生活
4人の生徒は皆、バトミントン部の所属。体育館には空調が完備されており、部活動の時間は常に冷房が効いているそうです。
私は東京の中学校に通っていましたが、思い返せば、当時は体育館どころか教室にも冷房がありませんでした。当時も夏場の授業は蒸し暑く、下敷きをバタバタと仰ぎながら授業を受けた思い出もありますが、冷房がなくても何とかしのげたのです。今では冷房なしの教室で授業をすれば、命にも関わります。
さらに、秋になっても猛暑が続くことから、体育祭の時期はどんどん後ろ倒しになっているそうです。
「最近この地域で秋祭りがあったんですけど、『秋』って感じ、全然しなくて。昔はもうこの時期、秋だったのかなあって…」などと話す生徒もいました。
このように夏が長期化する中、意外な変化も起こっているそうです。
同席してくださった社会科の川村先生によると、「暑い時期は休もうというのが夏休みの趣旨でしたが、最近は教室も冷房が効いて涼しいので、新学期が少しずつ早まっているんです」とのこと。「夏休み明けと言えば9月」という私の時代の常識も変わりつつあったのです。
あっという間に1時間が過ぎ、そろそろお暇しようとしたところ、窓の外から凄まじい雷の音が。
そして、直後に「生徒は帰宅を止め、指示があるまで校舎にとどまるように」との全校放送が流れました。下駄箱の付近では、部活終わりに帰宅しようとしていた生徒たちでごったがえしていました。
先生によると、最近は夏に雷が増えていることから、近くで落雷の危険がある場合は、安全のため下校を一時禁止する規則があるそうです。
これもまた私の学生時代にはなかった経験で、驚きました。後ほど調べてみると、実際に落雷の数は昔より増えており、背景には地球温暖化があるといいます。
私がここで働く意味。“初心”に帰らせてもらった
新大阪から新幹線に乗り込み、移りゆく車窓の景色を眺めながら、私の頭をふとよぎったのは「気候正義」という言葉でした。
気候変動による影響は全ての人に対して平等にもたらされるものではなく、先進国よりインフラ等が脆弱な途上国に暮らす人々、男性より社会的・経済的な地位が低い女性、大人より将来世代がより大きな被害を被るとされています。一方で、温室効果ガスを排出し気候変動を引き起こしてきたのは、被害を受けやすい途上国の人々や将来世代ではなく、被害を受けにくい先進国の人々や大人世代です。この「不公正」を正していこうというのが気候正義という概念です。
中学生との交流を通して私が感じたのは、まさにこの「不公正」でした。私と中学生は15歳しか離れていませんが、気候変動によって、私がかつて経験した日常と彼女たちの日常は確実に違うものになっています。私が当たり前に享受している(そして、過去に享受してきた)「豊かさ」を、今の若者やこの先に生まれる将来世代は享受できないかもしれないのです。そして、彼らより先に生まれた私は、気候変動に対するより大きな責任があります。
振り返れば、私がe-dashに入社したのは、刻々と進む気候変動問題に対して、誰かに被害を押し付けたり、課題を先送りしたりしたくない、と強く感じたからでした。
もちろん、節電をしたりマイバッグを持ったりと個人でアクションはできます。しかし、社会全体の温室効果ガスの排出量の大きな割合を占める企業に変化を促すことができれば、社会により大きなインパクトを与えられる。だからこそ、企業の脱炭素を支援するe-dashの事業に大きな魅力を感じたのでした。
しかし、最近は目先の業務に追われ、こうした「初心」に立ち返ることは少なくなっていました。
私がここで働く意味とはーー。改めて自分に問いかけることができたのは、中学生との出会いのおかげです。
私が彼女たちから大切なことを思い出させてもらったように、私たちも“小さな何か”でも彼女たちにもたらすことができていたらいいなあ。
少々傲慢にもそんなことを考えながら、今も仕事の合間にたまに、あの日スマホで中学生と一緒に撮った写真を眺めています。